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2005年01月07日
「このミステリがすごい!」2005年版
こういう書物は書店で探しにくい。雑誌なのか、単行本なのか。雑誌なら女性誌、男性誌、専門誌と分かれているし、どこを見たらいいのか。
幸い昨年の暮れに行った有隣堂ルミネ町田店では、「このミステリがすごい!」と「週刊文春」のミステリベスト10のコーナーができていて、この「このミス」も一緒に並べてあった。「週刊文春」のほうはいつも買い忘れてしまう。
ベスト10にあげられたタイトルを見ると、国内海外で1冊づつしか読んでいない。情けない。もっとも、話題の本を全部追いかけるわけにはいかない。時間なく資金なく置き場所なし。まあ、貧乏くさい話はさておき・・・。
国内では、6位の「硝子のハンマー」貴志祐介著(角川書店)を読んだ。久しぶりの密室ものだった。鮮やかな手だと思い、今年の1位!とひとり叫んだのだったが、ほかに読まないのでは比較のしようがない。
探偵役の男性のほうの人物が、印象に残っている。
裏表紙に5年間のベスト5が載っていて、そうそう、2003年の1位は「葉桜の季節に君を想うということ」だったのだ。これにはおおいに異議があった。早い話、何が面白いのか理解できない。たしかにオチは最後までわからなかったが、わかってもなーんだ、と言うだけのオチだったし。
海外では、4位の「ダ・ヴィンチ・コード」ダン・ブラウン著(角川書店)を読んだ。厚い上下である。長かった。著者の薀蓄に驚嘆し、キリスト教社会の知らない側面をちょっとばかしのぞいた気がした。しかし、4位?うーむ。膨大な知識の割りに、もの足りなさが残った気がするが。もちろん、ほかを読んでいないので、何も言う資格はない。
ベスト10のうち、読みたいと思ったのが何冊かあった。
国内編。
1位の「生首に聞いてみろ」法月綸太郎著(角川書店)。タイトルで食わず嫌いしてしまったが、「小粋で小味な謎とロジックが、連鎖するように繋がっていくのだ」「堅牢なロジックで隙なく構築された傑作」(「このミス」P7)とまで言われると、読まないわけにはいかない。
2位の「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎著(東京創元社)。「洗練された技巧に加え、(中略)哀切な読後感が漂う」(「このミス」P8)。これもそそられる評だ。
4位の「THE WRONG GOODBYE」矢作俊彦著(角川書店)。「マーロウへのオマージュ」だそうだ。ちょっと迷う。
7位の「暗黒館の殺人」綾辻行人著(講談社ノベルス)。おどろおどろしいのかと手を出さなかったこの作家。これを読むなら、その前にずっと遡って読まねばなるまい。気後れしている。
海外編
2位の「魔術師」ジェラリー・ディーヴァー(文藝春秋)。リンカーン・ライム・シリーズ。魔術師か、面白そう、と思ったところに、「科学の最先端を行く鑑識捜査の面白さ」とか、「ライムとアメリアという主人公コンビのあり方にも及んで」(「このミス」P26)と聞いては読まねばなるまい。
6位の「誰でもない男の裁判」A・H・Z・カー(晶文社)。短編集が選ばれるのは珍しいのではないだろうか。晶文社を評者は、(この出版は)「最大のお手柄」と褒めている。味のある短編集は就眠前のいい友である。読んでみたい。
盛り沢山な内容にいちいち触れることはできないが、暮れになると恒例になった、「このミス」の発刊。ベスト10に選ばれた中で残ってゆく本はどれだけあるかわからないが、1年を見渡す参考に、毎年心待ちしている。
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「このミステリがすごい!」2005年度版
宝島社 2004年12月22日発行
投稿者 蒼木そら : 2005年01月07日 00:27
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